2010年8月23日月曜日

情報システム化の本質は省力化であり効率化である。

昨日は夏休み最後の週末ということで、家族で海水浴に行ってきました。

長野県に引っ越してきて始めての海水浴です。

場所は、谷浜海水浴場という新潟県の海水浴場。

初めて日本海で泳いだのですが、水の透明度が高くす晴らし海水浴場でした。

この夏は娘とプール・川を含めてガッツリと泳いだので、二人とも日焼けで真っ黒になってしまいました。






さて、本日は情報システム化・IT化の本質は省力化であり効率化であるというテーマで書きたいと思います。


なぜこのテーマを選んだかというと、先日何かの業界紙かネットの記事で「いまだに中小企業の経営者は、情報システム化を省力化だと勘違いしている。」という内容の記事を読んだことがきっかけです。


恐らくこの記事を書いていたのは、大手SIerかコンサルティングファームのITコンサルタントだったと思います。


まず結論として、私は、情報システム化が省力化であり効率化であるということが「勘違い」であるとはまったく思いません。


むしろ省力化・効率化こそが情報システム化の本質だと思っています。


また、個人的にもうひとつ付け加えるとこれにコスト削減が入るのですが、今回はこのコスト削減も(経営の)効率化に含めてしまいたいと思います。


情報システム化の本質が省力化・効率化でないというならば、いったい何が本質なのでしょうか?


例えば少し古い情報になりますが、 「2001年版中小企業白書」では、IT活用は次のような順序で進められると書かれています。



 「社内情報の共有化・業務効率化」

 「電子商取引等受発注業務への応用」

 「経営管理の高度化(業務・組織の見直し)」



まず最初に「業務効率化」とあり、その後に電子商取引(その昔Eコマースと呼ばれていた分野)、そして最後に業務と組織の見直し(その昔BPRと呼ばれていたもの)という順番で進められるととかれています。


この3つのステップを俯瞰してみてください。

表現方法や適用範囲は異なれど、全ては省力化であり効率化です。


第1ステージについてはそのままなので、特に説明の必要はないと思いますが、勘違いしてはいけないのが、省力化・効率化が第1ステージにあるからといってそれが初歩の初歩というわけではないということです。


第2ステージの電子商取引は、シンプルに解釈すると、少ない人手とコストで数多くの受注を受けるために導入するものです。


難しい理由付けをしようと思えばいくらでもできますが、単純に考えてると24時間コールセンターで電話受注オペレータを待機させておくよりも、インターネット経由で受注をしたほうが、コスト的に有利であり、業務も効率化できるからこういったシステムを導入するのです。


第3ステップの経営管理の高度化についは、恐らくこの分野に代表されるのがその昔にSIS(Strategic Information System)やDSS(Decision Support System)、最近ではBI(Business Intelligence)という略語で呼ばれているシステムを想像するとわかりやすいと思います。


これも単純に解釈すると、経営層の正確で迅速な意思決定をサポートするためのシステム化ということになると思います。


しかしこれも省力化であり効率化です。


システムを使おうが使うまいが、経営者は常に意思決定を迫られる存在で、その意思決定には根拠となる情報・データが必要になります。


恐らく経営者はこういった意思決定に必要な情報・データを、これまでEDP帳票や、社内アナリストの分析結果報告、はたまた社内の管理部門担当者が表計算ソフトでシクシクと手作りした帳票や、各種会議や非公式会話等から得ています。


もちろん、これ以外にも新聞各紙や業界紙、その他マスメディアが発信する情報・データなど経営の意思決定に必要な情報はたくさんあります。


これらをすばやく正確な情報を効率的に経営者の手元に届けて、より正確で迅速な意思決定ができる環境を整えることが第3ステージであり、やはりその本質は省力化であり効率化になります。


もちろん、各論を掘り下げていくと必ずしも「効率化・省力化」とは直接結び付けづらい情報システム化もあります。


例えば、電子メールやグループウェアといった情報系システムの基盤となるようなシステム導入によってどういった効率化・省力化が得られるのかは、極めてその測定が難しいものです。


恐らくこれらのシステムを導入することで、企業の通信簿であるP/LやB/Sにその効果が現れることはそれほど期待できるものではありません。


私個人の解釈としては、これらのシステムは既に「インフラ」であり、これらの利用環境がないことには事業そのものが成り立たないといっても過言ではないでしょう。これは、机やイスを購入するのに、費用対効果を求めないのと同じだと思います。


しかし、こと「情報システム化」の本流とも言える数百万・数千万の予算が必要なシステム投資に関しては、必ず定量的な省力化・効率化で測定されるべきであり、経営者や情報システム部門の責任者は、この視点を絶対に失ってはいけません。


先の2001年版中小企業白書を見ても、その本質は省力化であり効率化です。

この本質を抜きにして提案をしてくるSIerやベンダーは要注意です。


また蛇足になりますが、情報システムの導入に過度な期待をすることは禁物です。


情報システムはあくまでも道具で、経営における利害関係者全てを「幸せ」にする魔法の杖ではありません。


日本の家庭において、洗濯機・冷蔵庫・掃除機・エアコンなどの「便利な道具」で満たされても、それが即家庭の幸せにならなかったように、いくら会社の中を情報システムという「便利な道具」で満たしても、それが即会社の幸せにはつながらないことは明白でしょう。


なぜか人は時にこういった大切な部分を単純に考えてしまい、「このシステムを導入すればみんながハッピーになれる」「今ある問題の全てが解決する」と妄信してしまいがちです。

また特にこれは情報システム部門のスタッフが陥りがちなケースです。


道具はあくまでも道具。

道具としての本質を取り違えないように注意したいものです。


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株式会社ライジングサン・システムコンサルティング
岩佐和紀
URL : http://www.risingsun-system.biz/
認定資格 :
 上級システムアドミニストレータ
 FileMaker認定デベロッパーVer10/11

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