単なるノウハウ本やそこの浅いビジネス書と違って、翻訳されるような本は骨太で読み応えがありますね。
もちろん最初はフォトリーディングでアプローチするのですが、この手の骨太本は、その後何度も読み返してしまいます。
それぐらい、味わい深い本ですね。
さて、今日の話題はタイトルにも書いたとおり、「アメリカでも育児休暇や家族休暇を取ることは評価にマイナスと捕らえられている」件です。
アメリカでは1990年以降、仕事と家庭のバランスを取ることに国を挙げて取り組み、様々な法整備がなされたようです。
例えば、アメリカには家族休暇・医療休暇法という法律があるそうです。(現存するかどうかは未確認)
これは、一定規模以上の企業の従業員に、新生児や病気の家族の世話をするために、年間12週までの休暇を認めるという法律らしいです。(休暇中は無給)。
しかし、この法律に基づいた休暇の利用率は全体の4%に過ぎず、また休暇を取った人も、大多数は2週間に満たない短期間だったということです。
この休暇制度が積極的に利用されない背景には、"オーガニゼーション・マン(組織人)"のあるメンタリティが隠されているようです。
それは、育児休暇・介護休暇・フレックスタイム製などの「家族に優しい」制度を利用すると、出世にマイナスになると考えている人が、全体の41%もいるということです。
約半数弱の人が、家族に優しい制度が出世にマイナスと考えているのです。
これは個人的にイメージしていたアメリカのビジネスパーソンとはずいぶんとかけ離れたものでした。
こういった考えは日本や東アジア特有のものと思っていたのですが、これだけ法制度が進んだアメリカで働くビジネスパーソンも、同じようなメンタリティを持っていたのですね。
なんとなく「会社員」、この本でいうオーガニゼーション・マンという枠組みの中で仕事をするということの本質が垣間見えるような内容です。
著者のダニエル・ピンクさんは、この法制度に2つの大きな欠陥があると言っています。
ひとつは「自分サイズの服」を求める人に、「共通サイズの服」で解決を押付けていること。
もうひとつは、「仕事と家庭のバランスをとらなくてはならないと決め付けていること」と書いています。
ふたつ目の欠陥については、個人的にすごく共感できるものです。
私は子どもが生まれたタイミングでフリーランスとして独立をしましたが、そのきっかけは、「会社という枠組みでは、仕事と家庭のバランスを取るのは無理」だという結論に達したことです。
その時は別に会社が悪いとも、社会が悪いとも思いませんでした。
単純に自分がこう生きたいというライフスタイルに、会社というフィールドが適応できないので、別のフィールドに引越しをしたという感覚です。
私にとっての仕事は生活や家庭の一部であり、まったく別の毛色のものではありません。
何よりも仕事をしているときは楽しいですし、ワクワクして取り組んでいます。
それと同じく、家族とキャンプをしたり日曜大工をしたりという時間も私にとっては楽しくワクワクした時間です。
これがいい具合にブレンドされた24時間が、自分にとっては極めて心地の良いライフスタイルです。
著書の中では、「実際に、ほとんどの人に本当に必要なのは、それぞれのやり方で仕事と家庭をブレンドさせることなのだ」とあります。
まさに「我が意を得たり!」ですね。
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