2011年4月20日水曜日

フリーランサーのセルフブランディング その2

おはようございます。

昨日、今日と毎週恒例になりつつある東京出張で、このブログの原稿が新幹線の中で書いています。

新幹線の中というのは、意外とクリエイティブな仕事をするのに向いている空間で、私はよくFreeMindを使って、会議のシナリオを作ったり、システムの基本設計をしたりしています。

自分がどういった作業をするときに、どのような空間で仕事をするのが生産性が上がるかを知っておくと、仕事が煮詰まった時に、それを脱却するのにすごく役に立ちます。

作業内容と気分によって、自由に作業場所を変えることができる・・・
これもノマド・フリーランスの良さのひとつですね。

さて、本日は昨日からの続き、佐々木俊尚さんの『ネットがあれば履歴書はいらない(以下、同書)』を読んで考察したことを書きたいと思います。

昨日は、「なぜフリーランサーはセルフブランディングが必要なのか?」について考察し、その理由付けとして「フリーランサーは営業に費やす時間が無いので、仕事が向こうから勝手にやって来る仕組みをつくることが望ましい」と結論づけました。

今回は、その「仕事が向こうからやってくる状況を如何につくるか?」という、より具体的なことに対して、同書で述べられている主張、方法論を交えて考察していきたいと思います。

最初に、相変わらず自分の考察の過程を徒然なるままに書いているので、お時間のない方は、最後に書いているまとめを読んでいただき、ご興味があれば全文を読まれることをおすすめいたします・・・

さて、まず具体的なテクニック論に入るまでに、フリーランサーのビジネス界における立ち位置を明確にしたいと思います。

その理由は、ネットを使ったブランディング手段・方法論というのは様々であり、その中には、大企業向けのものから個人向けのものまで各種存在すること、そしてその存在するツールを適切な物にしない限り、期待する効果は得られないのではという考えを持っているからです。

セルフブランディングをやりたいにもかかわらず、その方法論に大企業がやっているようなブランディング手法を取り入れることは、サイズの合わない服をあてがうようなもので、期待する効果を出すことは難しくなるでしょう。

なので、まずフリーランサーに最適なブランディングの方法論(武器)とはどういったものなのかについて考察してきたいと思います。

フリーランサーは、ビジネスの世界では極めて弱い存在です。
ランチェスター経営の竹田陽一先生によると、多くの中小企業、つまり弱者が大企業の真似事、つまり強者の戦略を採用した結果、苦境にあえぐケースが後を絶たないとおっしゃられています。

戦略、つまり市場における戦い方というのは、「強者の戦略」と「弱者の戦略」があり、それぞれに正しい戦略を採用しないと、とんでもない結果になってしまうということです。

フリーランサーは間違いなく弱者の存在。
なので、この弱者の戦略にあったブランディングを行うことが肝要であることが導きだされます。

では弱者の戦略とはなんでしょうか?
ランチェスター戦略における弱者の戦略において、特にセルフブランディングに必要な要素は次の3つに集約できると思います。

1:接近戦で戦う
2:一点集中主義に徹する
3:局地戦で戦う

なんだかゲリラチックでいいですね(笑)

こういった弱者が採用すべき戦略が見えてくると、ネットを使ったセルフブランディングもどのように行えばいいかが少しづつみえてくると思います。

まず、弱者はニッチで特異セグメントにいる客さんを相手にするほうが有利であり、何でも屋よりも「専門家」のほうが有利であり、広域の顧客を相手にするよりも、特定の地域や業界を相手にするほうが有利であることがわかります。

そうすると、まず自分の専門分野、つまり「私は何が出来るのか?」を、できるだけ詳細に分かりやすくネット上に公開することが必要になってくることがわかります。

また、ブランド=信頼と捉えると、やはり実績が一番の基板になりますので、これまで仕事で上げた実績についても、できるだけ詳細に公開することが求められるでしょう。そして信頼を得るもう一つのステップが、自分が継続的にスキルアップの為に勉強していること、自己研磨していることを公開するということも重要だと思います。

こういった詳細なプロフィールを公開することで、自分の強み・専門性・実績を公にすることがまず第一歩になります。
佐々木俊尚さんは、著書のなかで「自ら情報を公開することで、ブランドは築かれる。」そして、「情報発信を恐れてはいけない」と、同書の中で述べられています。

次に、公開したプロフィールを見込客、もしくは既存客に知ってもらう必要があります。
ちなみにフリーランスは見込客以上に、既存客に知ってもらう必要があると思っています。
その理由については、後ほど書きます。

このプロフィール拡散ツールとして、Webは極めて有効なツールなのではあり、その拡散装置となるツールがTwitter、FaceBook、そしてBlogになります。

これはら、すべて無料で始められることと、特にTwitterについては、次に述べる「エゴサーチ」の必須SEOツールとなるので、「弱者」のフリーランサーには極めて重要な装置になります。

それではまず、「エゴサーチ」そして「指名検索vs比較検索」の説明をしやすくするために、FaceBookから先に掘り下げていきたいと思います。
このFaceBookも弱者の戦略にはかかせない、これはネット上における接近戦用の武器になります。

一般的なWebページをネットの世界に公開するとなると、そこは強者・弱者がひしめき合うレッドオーシャン。
巨額のSEO/SEM対策費を投入している企業(強者)と戦う事になります。
これは弱者の代表格であるフリーランサーは極めて不利です。

しかしFaceBookであれば、まず「比較検索」をされることはありません。
必ず「名前(指名)」が先にきて、その後にそのひとのプロフィール(専門性)という順番で、アピールしたい情報(プロフィール)にアクセスされます。

例えば私のケースですと、比較検索というのは「フリー ITコンサルタント」や「FileMaker 長野」などといったキーワードをGoogleやYahooで検索されること。
これを比較検索といいます。

逆に指名検索というのは、そのものズバリを検索する。
例えば私のケースだと、Google検索で「岩佐和紀」と検索される。
この個人名を検索エンジンで検索することを「エゴサーチ」と言うそうです。
これは、同書を読むことで初めて知ったバズワード(?)になります。

さて、この「比較検索」と「指名検索」が、弱者にとって大きな差があるかは想像にたやすいでしょう。
比較検索を前提にしたブランディングというのは、広域戦であり、これは強者の戦略です。

比較検索を前提とするWebブランディングだと、他社と比較され、選択されることが重要となってきます。
よって、「他社のサイトと比較して」洗練されたデザインも必要でしょうし、何よりもSEO/SEM対策に神経を尖らせる必要があります。
その対策には、巨額の費用と労力が必要であり、弱者のフリーランサーが採用すべきでないことは明らかです。

しかし、指名検索を前提とするWebブランディングの戦術であればSEO対策は極めて簡単になります。

例えば私の例を見てみます。
私の名前をGoogle検索すると、まずTwitterのページが最上位に検索されてきます。
※ちなみに私と同姓・同名のプロボクサーがいるのですが、その方よりも上位に検索されるようです(笑)

このようにTwitterに「実名」を公開して、定期的につぶやくことによって勝手にSEO対策がなされます。
Twitterは指名検索に極めて最適なSEO対策ツールであり、また「弱者の戦略」を遂行する上でのアーミーナイフのような存在といえます。

但し、指名検索をしてもらうには、まず名前を覚えてもらわないといけないわけですが、ネームバリューのない私のようなフリーランサーは、自分の名前を覚えていただく機会が極めて乏しい。

っということで、自分の名前を覚えてもらうのにTwitterをつかうのは有効な手段ではないかと思うのです。

リアルの世界における信頼関係に置き換えて考えてみましょう。
人と人とが知り合い、打ち解けあうプロセスは、いきなり全ての情報をさらけ出すのではなく、当たり障りの無い、一般的な情報交換から、徐々に核心となる情報の交換に移っていくはずです。

こうやって、お互いが一歩踏み込む障壁を少しづつ下げてゆき、適切な距離を図りながら信頼関係というのは築かれていきます。

この徐々に情報を出すツールとしてTwitterは最適なツールになります。
そもそもTwitterが一度に140文字しか投稿できない制限があるので、まとまった情報を出すことは不可能ですし、Twitterのプロフィール欄もわずか160文字。極めて限られた情報しか発信することが出来ません。

ただ、限られた情報だからこそ、多くの人に自分という存在をカジュアルに知ってもらうきっかけにもなります。
重要なのは、Twitterを通じて自分に興味を持ってくれた人に、より自分の専門性・強みを知ってもらう導線をつくっておくこと。

これがBlogでありFaceBookになるわけです。

①Twitterで人の役に立つ情報をつぶやく。
②興味を持ってくれるひとが、Twitterのプロフィール欄を見る。
③簡単なプロフィールを見てもらう。(※実名を載せておく)
④より詳しく知りたいという人のためのプロフィールサイト(Blog/FaceBook)を用意しておく。
⑤自分に興味を持ってくれた人と、インタラクティブに情報交換ができる手段を用意しておく。

おおよそ、このような導線が出来上がります。

そして、③のプロフィール欄には、先にも述べたとおり実名を載せておくことが重要です。
それは、ズバリ自分の名前をエゴサーチしてもらうことが目的です。

フリーランサー、つまり弱者のwebを使ったブランディングは、如何に「エゴサーチ」の対象になるか、そしてエゴサーチで検索された結果が、自分を必要としてくれる人にとって、有用な情報が上位に検索されてくるかが重要になります。

このエゴサーチの入り口がTwitterとなるわけです。
このTwitterをエゴサーチの入り口にするという戦術は、佐々木俊尚さんの「ネットがあれば履歴書はいらない」で語られています。
個人的に、この部分は同書におけるTwitter利用の「キモ」になる部分だと認識しています。

そして最後のブログ。
私もFaceBookとTwitterのブランディングにおける活用方法については、すぐに理解できたのですが、Blogについてはどうしても「旧来のモノ」という印象が拭えず、どう活用するのが最も効率的なのか、捉えきれずにいました。

佐々木俊尚さんは、同書の最後で「ブログは講演会場、Twitterは立食パーティー」と表現されていました。
なるほど、そういう捉え方かとまさに目からウロコでした。

そうすると、Blogは「もし自分の専門性や成果を講演会で発表するとしたら、どう行った情報を発信できるか?」という表現の場、成果発表の場ということになります。
こういう役割が設定できると、その活用方法も明確になってくるのではないでしょうか?

また、導線の終着点がブログとなると、その入口に当たるTwitterでどういった内容をつぶやくのが有効なのかも必然的に見えてくるわけですね。

こうやって、一連のツールが有機的に組み合わさることによって、フリーランサーが構築すべき「仕事が向こうからやってくる」仕組みの土台が出来上がるわけです。

もちろん、実力のないフリーランサーは、ブランディングよりも先に実績をつくるなり腕を磨くなりして、「使える人」になることが先になりますからね(笑)

同書には、セルフブランディングを意識する上で、Twitterでつぶやく内容や、カジュアルツイートとフォーマルツイートのブレンド具合に関するサジ加減の"黄金率"にも触れられています。

また、Twitterだけではなく、FaceBook/Blogの活用方法、それにSBIビジネス等のWebサービスについてもしっかりと押さえられています。

ベビーユーザや専門家にとっては、もしかしたら物足りない内容かもしれませんが、各ツール同士の役割・位置づけ・連携方法がうまくまとめられた、「弱者のWebブランディング入門書」としては、極めて優れた書籍だと思います。

さて、今回も相変わらずの長文になってしまいましたが、まとめに入りましょう。

【まとめ】

1.フリーランサーはビジネス界の弱者であり、ブランディングにも弱者の戦略が必要。
2.弱者の戦略は接近戦、局地戦、集中突破戦略に集約される。
3.フリーランサーがネットでブランディングするには、これらの戦略を最も忠実に実行できるエゴサーチ誘導を最重要視すべき。
4.エゴサーチの入り口はTwitter。自分の専門性・強みをカジュアルにつぶやく。
5.Twitterを入り口として、自分の専門性をアピールできる仕組みを用意しておく。それがFaceBookであり、Blogである。
6.ブログは講演会場、Twitterは立食パーティと意識。発信する内容にフォーマルとカジュアルの色付けをして、メリハリを付けることが重要。

こんな感じのまとめです。

これを受けて、私のFaceBookやTwitter、Blogで発信する内容も、もう少し絞り込む必要がありそうですね。

さらにブログの書き方、相変わらず文章が長い。
もしかしたら、これが最も反省すべき点かもしれません・・・

また、その前に、自分の専門性、強み、そしてユニークな部分をより明確にすることが、その先のブランディング術を一貫したものにするためにも必要です。

個人的に考察した結果を羅列しただけの、長い長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。

こちらに出した情報が、あなたのお役に立てれば幸いです。

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株式会社ライジングサン・システムコンサルティング 
岩佐和紀 
URL : http://www.risingsun-system.biz/ 
認定資格 :
 上級システムアドミニストレータ
 FileMaker認定デベロッパーVer10/11

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