2011年4月18日月曜日

フリーランサーのセルフブランディング -その1-

ここ数日、暖かい日が続いていますね。

こちら、長野県飯綱町の自宅でも、ようやく梅の花が3分咲きといったところです。




さて、今日は佐々木俊尚さんのご著書「ネットがあれば履歴書はいらない」の読了を経て、考察したことを書きたいと思います。


この著書のサブタイトルは「ウェブ時代のセルフブランディング術」とあります。


この本を手にとったきっかけは、今回の震災をきっかけに今一度、社会における自分の存在意義というものを、しっかりと考え直すタイミングにきていると感じたからです。

あの震災後、いちフリーランスのSEとして、自分はいったい何が出来るのだろう・・・
ずっと考えてきました。

この難解な問いに対して、一筋の光明が見えたのが、先日ブログでかいた「全脳思考を仕事の現場で使ってみた」の中に隠れてることに気が付きました。


その見えた光を言語化するのは、まだ少し難しい(早い)段階だと思いますので、あえてここでは書かないことにしますが、そういった内省的な変化を受けて、今一度、自分の立ち位置というのを明確にしておこうと思ったわけです。

さて、私のようなフリーランサーは、ブランドの象徴でもある「企業の看板」というモノがありません。

私は過去に、BMWやDOLCE&GABBANAなど、世界にも通用する「ブランド」のある会社で働いていたこともあり、「ブランド」がもつ圧倒的なパワーというものを、身を持って体感した経験を持っています。

そういった経験からも、高品質な仕事を安定的に獲得するには、自分そのものを「ブランド化」することは極めて重要であると、本書を読んで改めて認識した次第です。


では、まず本書を読み進めていくにあたって設定した「セントラルクエスチョン」についての考察です。

ちょっと脱線しますが、本を読むときには、必ずセントラルクエスチョンを定義しておくと読みっぱなしにならずに質の高い読書ができます。本の読み方について勉強されたい方は読書術の古典である「本を読む本」を読まれるとよろしいかと思います。

私が、本書を読む上での通貫した問は、なぜフリーランサーに「セルフブランディング」が必要なのか?

この問が、本書を読み進めるにあたってのセントラルクエスチョンになります。

・・・っといことで、まずはこのセントラルクエスチョンを設定した背景について考察していきましょう。

突然ですが、フリーランサーは「営業」ができません。

できないと言い切ると、「そんなことないでしょ?」と思われるかもしれませんが、私はあえて営業はできないと考えるようにしています。

理由は2つ有ります。

ひとつは、フリーランサーのビジネスというのは、営業のような直接対価を産まない稼働時間を潤沢に取れないという理由。

そして、もう一つは、「営業をしなければお客を取れないようなフリーランサーは企業と対等な契約が結べない」という理由からです。

まず前者から考察していきましょう。

営業というのは、ファーストコンタクトから実際の契約にいたるまでに、それなりの稼働時間を要します。そしてこの契約までに至る時間は、基本的に対価を求めることができません。せいぜい、それまでに稼動した時間を契約金の中に「まぶし込む」のが関の山です。

この対価を産まない稼働時間が長い「営業」というプロセスは、キャッシュフローの小さいフリーランサーには死活問題になります。

このリスクヘッジとして、その営業そのものを、フリーランスと企業を仲介するエージェントさんに任せるという手もあるのですが、これはまた別の弊害を生むことになります。

その弊害が後者の契約に関することになります。
弊害とは、エージェントが取ってくる仕事の質です。

エージェントが取ってくる仕事というのは、基本的に大手の下請けのような仕事がメインです。
とてもフリーランサーと企業側が対等な契約が結べるような条件での仕事はありません。

私もこの業界でたくさんのフリーランスSEを見てきましたが、企業と対等のレベルで契約をして仕事をされている方は極めて少数で、ほとんどのフリーランサーは下請けレベルの仕事に甘んじているのが現状です。

ちなみに、下請けの仕事が悪いというわけではありません。

ただ、下請けというのは基本的に「使い捨てられる」運命にあります。
ただでさえ営業活動の厳しいフリーランサーが、「切り捨て前提の仕事」をメインにするとなると、常に新規のお客さんを探さなければなりません。

安定的に高品質な仕事をするのが極めて厳しくなります。

また、企業と対等に契約できないとなると、本来言うべき意見を言えなかったり、このままでは失敗すると分かっている仕事でも、指を加えて見過ごすような事になることもしばしばです。

こういった弊害があるので、本質的にフリーランサーは営業活動ができないというのが、私の認識であり、だからこそフリーランサーはセルフブランディングというものを意識しなければならないという結論に達するわけです。

それでは、「ブランド」とは一体なんなのでしょうか?

ブランドを一言で表すと、それは「信頼」ではないかと思います。
もちろん、見栄えのよいロゴマークや、洗練されたキャッチコピーなども重要だと思いますが、それはあくまでも表面的な部分であり、ブランドの本質はやはり「信頼」だと思うのです。

ブランド=信頼と定義すると、セルフブランディングとは、「その個人が社会的な信頼を得るためのすべての活動」と定義することができそうです。

このセルフブランディングを、意識的・無意識的に関わらず、実行されていて、それがうまく機能している方達というのは実際にいます。

そして、そういったセフルブランディングがうまく出来ている人を観察していると、営業などしなくても仕事は向こうからやってくることに気が付きます。


  • あの人に任せておけば大丈夫。
  • あの人に任せておけばうまくやってくれる。
  • あの人と一緒に仕事をすると成長できる。
  • あの人と一緒に仕事をすると楽しい。


→だから、今回の件もあの人に任せよう!

こういった状況は、全て「信頼(=ブランド)」が生み出した結果だと思います。
そして、こういった「仕事が向こうからやってくる状態」を、フリーランサーこそつくっておかなければならない。

なぜなら、企業の看板もなければ、自分を売り込む営業活動もできないのだから・・・

こういった結論に達するわけです。
これが、なぜフリーランサーに「セルフブランディング」が必要なのか?の背景になります。

それでは、具体的にどうセフルブランディングをしてくのか?

次回は、佐々木俊尚さんが本書に書かれていた方法論に触れながら、それについて書きたいと思います。

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株式会社ライジングサン・システムコンサルティング
岩佐和紀
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