2010年9月20日月曜日

FreeMindですいすいユースケース分析

今日は朝から雨の飯綱町です。
既に半そででは肌寒い感じで、あと1ヶ月もすればこたつと薪ストーブが恋しくなる季節になります。
今年は猛暑で早く涼しくならないかと思っていたのですが、いざ夏が過ぎるとあっという間に冬支度の北信州です。

さて、今日も上流工程ネタで行きたいと思います。

先日、上流工程の情報は全てFreeMindにまとめなさい的な記事を書きましたが、今日はその続編ということで、FreeMindをどのように上流工程で使うかについて書きたいと思います。


上流工程で記述するドキュメントは前回の投稿でも書いたとおりですが、FreeMindが活躍するのは何といってもユースケース分析の時です。

ユースケース分析で記述するドキュメントは、ユースケース図とユースケース記述書があります。


私はユースケース図をAstahProfessionalで、ユースケース記述書はFreeMind0.9.0で書いています。


もちろん統合開発ツールであるAstahProfessionalにもユースケース記述書を書く機能は搭載されているのですが、ユースケース記述書が8割以上完成するまでは、AstahProfessionalの機能は使わず、FreeMindを使っています。




FreeMindをつかう理由は主に3つあります。


ひとつめは、FreeMindのほうが情報をスピーディーに構造化しやすいことです。

確かにAstahのユースケース記述書機能は、下記のように構造化された記述フォームが用意されています。

しかし、エンドユーザからヒヤリングしたてで明確な構造が見えていない状況において、いきなり形式化されたフォームにイベントフローなどを記述するのは、記述の目的と効率化の観点からあまりお勧めできるものではないと思います。


それよりも、FreeMindのようなツールで「まず明確なところから」そして「書きやすいところから」書くほうが、仕事ははるかに分析しやすく、そして仕事も速くなります。


ユースケースは記述することが目的ではなく、業務とシステムの境界線、プロジェクトのスコープを明確にし、業務全体を構造化することが目的のはずです。


そういう目的に立ち返ると、ユースケース記述書はあくまでも分析結果・構造化の結果を書くものであり、分析・構造化の過程を記述するには向いていないことが解かります。


なによりもきっちりと書式が整った書類に書くときのデメリットは、記述しながらわからないことや疑問点が出てきたら、そこで仕事が止まってしまうということです。


ここで仕事の生産性が落ちてしまいます。


もちろん、わからない部分をペンディングにして、それ以降を書き続けることもできるでしょう。


しかし、心理的にも人間の脳の特性的にも、完璧にフォーマットされた書類に、「中途半端」な状態で文書を保存しておくのは、なんだか気持ちの悪いものです。


その点、FreeMindでの記述だと、書式化されたものではないので、解からない部分はそのままにしておき、わかる部分からスイスイ書いていくことができます。

FreeMindで構造化したユースケース記述書


そしてわからない部分には、0.9.0から登場した強力な機能である「属性」機能でマーキングしておき、「フィルタ」を使って、漏れなく調査やヒヤリングすることができます。


そしてこの属性とフィルタ機能が使えることが、FreeMindをつかう2つ目の理由です。


FreeMindはバージョンが0.9.0になって「属性」と「フィルタ」という強力な機能が追加されました。


属性機能とは、ブランチに構造化されたタグをつける機能です。


ブランチに属性(タグ)を追加する。


例えば、経理部門に提供するサービスのユースケースを記述しているときに、ふと疑問点やヒヤリングが十分でない箇所が出てきたとします。


そういうときに、【要ヒヤリング / 経理部】という属性をブランチにつけておき、具体的な質問事項をブランチのノートとして記述しておきます。


そしてフィルタ機能で、全てのブランチから【要ヒヤリング="経理部"】という属性(タグ)のついたブランチのみをフィルタします。

フィルタの定義
ブランチをフィルタした結果







こうすることで、ヒヤリング項目を効率的に管理することができます。


ちなみにこれには副次的な効果があります。


フィルタ機能は、単純にそのブランチのみを抽出するのではなく、上位ブランチと下位ブランチを表示することができます。


この機能により、その質問・疑問がどういった関連性を持っているのかをひと目で確認することができるのです。


Excelなどでヒヤリング台帳や質問台帳を管理し、それをもとにヒヤリングを実施すると、時に「自分はなぜこんな疑問を持ったのだろう?」と質問・疑問の「意図」や「本質」を忘れることはありませんか?


こういった質問・疑問の意図や本質というのはなかなか言語化しずらく、多くは記憶にイメージとして残っています。


このイメージを如何に効率よく引っ張り出せるかで、ヒヤリングの質というのはまったく変わるのですが、FreeMindをつかうと、MindMapがもつフィードバック効果を得ることができるので、ヒヤリングの質が飛躍的に向上するのです。


いかがでしたでしょうか?


FreeMindの0.9.0から実装された属性とフィルタの機能を使うと、こういったメモ以外にも様々な使い道があります。


「属性」はブランチで関連付けられている関係性とは別の視点・評価基準における関係性をブランチに付与することができます。


そして何よりもこの属性がに階層構造を持たせることができるのがすばらしい。


今回の例では、以下のような構造を作りました。

▼要ヒヤリング

├→経理部

├→総務部
└→経理部





これで2次元構造であったマインドマップが、立体的・3次元的な構造になり、より複雑な情報を効率的に管理することができます。


できればこの機能は本家のiMindMapにも実装してほしいところですが、恐らくトニーのおじさんから「そんなもんはマインドマップじゃない!」と一喝されそうですね(笑)


しかし、この機能はシステム開発の現場、特に情報が抽象的な上流工程では、その抽象的な情報を構造化するにあたって極めて有益な機能です。


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株式会社ライジングサン・システムコンサルティング
岩佐和紀
URL : http://www.risingsun-system.biz/
認定資格 :
 上級システムアドミニストレータ
 FileMaker認定デベロッパーVer10/11

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