2012年10月18日木曜日

情シスの戦略部門化、ふたたび・・・


おはようございます。

最新の日経コンピュータを読んでいたら、今回の号から新たに2つの気になる連載が開始されていました。

ひとつは「システム部門 再生の極意」、もうひとつが「いる資格、いらない資格」というタイトルになっています。

今回、双方の連載でキーワードとなっていたのが、如何にITを経営に活かすかというテーマです。

その根底にあるテーマの表現方法として、全社は「情シス部門の再生」そして後者が「資格」にスポットを当てているという印象を受けました。

ITを経営に活かす・・・

これは本当に古くて新しい問題です。

そもそも、ITの存在意義自体が経営をより円滑に、効率的に進めるためのツールであり、企業に情報システムが導入されて数十年、そのように活用して来られたはずなのです。

しかし今、またこのような「根本的な問い」にスポットが当たるようになってきました。

この背景について考察してみたいと思います。

私がこの業界で働き始めて約20年なのですが、過去にも何度かこの話題にスポットが当たることがありました。

例えば今から12〜15年ほど前、企業ではメインフレームやオフコンといった大型コンピュータから、「ダウンサイジング」という旗印のもと、オフィスで利用するコンピュータの主役がPCに移ってきた頃です。

この頃に言われたのは「情シスの戦略部門化」

当時提唱されていたコアのメッセージというのは、煎じてつめると「アウトソーシング」です。

情シス部門は、経営層と一体となってIT戦略を作り、それを実行、マネジメントする。

それら以外の機能は、ITの専門企業へアウトソーシングして、情シスを戦略部門に生まれ変わらせましょうという主旨です。

このトレンドの中で、実際に世の中ではアウトソーシング化が大きく進みました。

「戦略的アウトソーシング」という言葉が生まれ、社内の情報システム部門には戦略の立案と実行をマネジメントする精鋭だけが残り、トレンドの早い技術的な仕事はプロにアウトソースされて行きました。


「戦略的アウトソーシング」という言葉が生まれ、社内の情報システム部門には戦略の立案と実行をマネジメントする「アタマ」だけが残り、トレンドの早い技術的な業務、つまり「手・足」はプロにアウトソーシングされて行きました。

・・・が、しかし、情シスの戦略部門化が達成できた会社は恐らく全体の10%にも満たないのではないでしょうか?

もちろん、情シスの戦略部門化に成功したという事例も幾つか見聞きします。

例えば、ユナイテッド・アロウズさんであったり、東急ハンズさんであったりというのは、頭と手足の切り分けがうまくいった好例として、よく見聞きします。

しかし、多くの情シスさんは、自社で保有しているシステムの内部構造も分からず、利用部門や経営層からの質問にも的確に答えられない、改善案も提案できない、気が付けばアウトソーシング会社におんぶにだっこの状態で、「社内の御用聞き部門」と化している情シス部門のほうが多いのではないかと思います。

この状況を憂いで、大手企業を中心に、アウトソーシングしていた技術的な業務を再び内製化する動きもあるようです。

しかし、これは個人的な意見ですが、技術的な仕事をアウトソースすることに関しては正解だったのではないかと思います。

もちろん体力のある企業で、自社内に技術者を抱えられ、その技術者さんに対して社内における明確なキャリアパスを提示でき、何よりも技術力の向上が給与の評価に大きく考慮されるような人事システムを構築できる企業さんは内製化して、技術者を抱え込むという選択肢もあると思います。

しかし、多くの中堅・中小企業では、そのような組織、及び人事制度を構築するのはほぼ不可能だと思います。

特に、技術力の向上と昇給に相関関係を持たせるような人事システムというのは、社内で優秀な技術者を囲い込むためには不可欠な要素だと思うのですが、ユーザ企業に「優秀な技術者」を評価する基準・風土をもった企業さんはほぼ皆無でしょう。

ということで、技術部分のアウトソーシングというトレンドは、個人的には良かったと思っています。

では、なぜ「情シス部門の戦略部門化」は進まなかったのでしょうか?

私も、まさにこのトレンドのまっただ中で、情報システム部門の仕事をしていましたので、いろんな思いはありますが、強い自戒の念を込めて、冷静に考えると、大きく3つの理由があるのではないかと思います。

ひとつ目は「経営層と情報システム部門の乖離」2つ目は「戦略部門の具体的機能が不明確」、最後の3つめが「情シス人材の流動化」です。

この3つの問題はそれぞれが絡み合ってそれらを構成しているので、どれかひとつを解消すれば良いというものではなく、複合的に対応すべき問題です。

明日以降、これらのことについて、考察を深めていきたいと思います。

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